「えっ、調査するだけが探偵?
とんでもありません! 探偵の世界にもいろいろあるのです。
ここでは、一般的にはあまり知られていないちょっと変わった探偵の世界をご紹介します。」


第07話  『姿無きストーカー篇 −前編−』  原作:サダ・マサシ

しばらくの間休載していました探偵日誌ですが、このほど、ようやく再開の運びとなりました。今後とも宜しくお引き立ての程、お願い申し上げます。 さて、今までは私社長の体験談で綴って参りましたが、今回からは弊社調査員の体験談をお話していきます。どのような話しが展開されるのか、篤と御覧下さい。

  その依頼は、一本の電話からであった。何やら慌てている様子である。私は、相手を諭すように冷静に話し始めた。しかし、電話の相手は気持ちが高ぶったままで、私の話を一向に聞こうとしない。業を煮やした私は、とにかくこの依頼者に会う事にした。電話の内容はこうである。ある人物が私を付け狙っている。いつも誰かを使って見張っている。怖くて外にも行けない。何とかして欲しい。というのである。

 会ってみると、歳は還暦を越えた女性で、マンションの一人住まいであった。夫とは死に別れ、寂しい隠居暮らしである。この時は、40歳前後の娘が来ていた。電話での様子とは違い、この依頼者は事の他静かであった。ここで、もっと注意を払っていれば事態は早期解決に向かったはずである。しかし、私はこの依頼者の様子を見逃した。それが、事態を泥沼化させることになると気付くのは、もっと後になる。

依頼者との話は娘が進めて行った。さかのぼる事、4年前になる。 夫と死別し、身寄りが娘夫婦だけになってしまい、やむを得ず夫と共に過ごした家を売り払い、娘夫婦の家の近くにマンションを買った。程なくして落ち着いた頃のある朝、新聞を取りに行こうと玄関ドアを開けると、そのドアの前に油の様な液体がぶちまけられていた。その時は、誰かが何かをこぼしたのだろう位にしか思っていなかったらしい。ところが、数日後、今度はポストに汚物が入れられていたのだ。誰が何の為にこんなことをするのか、依頼者は首をかしげた。引っ越してきたばかりで近所とは付き合いが浅いし、他人に迷惑をかけるようなことは一切していない。まして、年増のおばさんにこんなことをして、何の得があるのだろう。依頼者は不思議でしょうがなかった。何かの間違いだろうと、この時点ではさして気にも留めていなかった。ところが、事態はこれでおさまらなかった。買い物の途中で、車に轢かれそうになったのである。歩道のない住宅街の道路で、側方を通過していった車両がバックで戻って来る際に、依頼者めがけて来たのである。何とか電柱の陰に隠れて難を逃れたのだが、その車両の動きは明らかに意図的であった。似たようなことが数回続き、外出に恐怖が伴うようになり、極力外出を控えた。これでほとぼりが冷めるだろうと踏んでいた。娘夫婦も買い物などに協力してくれたので、それほど不自由はなかった。いたずら電話があるわけでもなく、少しほっとしていたある日、また、玄関ドアの前に例の液体が流されるようになり、ポストも荒らされた。マンションの外から部屋に向かって石も投げられた。マンションの周囲には、いつも見たことがない車が止まっているようになった。依頼者の恐怖と怒りは頂点に達していた。しかし、為す術もなく、とりあえず警察に届けた。

お決まりの事情聴取と巡回警備の強化で、警察はお茶を濁した。時々警察官が様子を伺いに来て話を聞いてくれるが、一向に事態はおさまらない。自分で怪しい人物や車の写真を撮影して見せたりもしたが、現行犯でないためにそれ以上は動いてくれなかった。娘夫婦や数少ない友人が泊まりに来てくれたりするのだが、その時に限って何も起きなかった。一体、この犯人は何が目的なのだろうか。財産目当て?愉快犯?どれも説得力がなく決定

打に乏しい。だいたい、財産など殆ど無く、わずかな蓄えと年金しかない。愉快犯だとしても、もっと若い女性を狙うほうが筋は通っている。いくら考えても、狙われる筋合いは無いのである。娘夫婦は、引越しを促した。もともとこのマンションには未練も無いので、それが得策と判断し、すぐに引っ越した。引越し先を知っているのは娘夫婦だけである。これで問題解決、やっと静かに暮らしていける。趣味を見つけて、近所づきあいを多くし、友達もたくさん作ろうと思っていた矢先、

同じ様な事が起こったのである。玄関ドアとポストへのいたずら、石投げ、車での付け狙いである。どうして?なぜ?気が狂いそうになった。娘夫婦も、さすがにこの状況はどうしていいのかわからなくなった。とりあえず、娘夫婦の家に逃げることにした。狭いために少し不自由だが、背に腹はかえられない。

そこで1ヵ月ほど過ごしたそうである。そこでは何も無く平穏無事だった。依頼者も落ち着きを取り戻し、自分のマンションに帰ることにした。これ以上娘夫婦には迷惑はかけられないからである。本心はずっとそこに居たかったらしいが、物理的な問題があるので致し方ない。マンションの自宅は、時々来て掃除をしてもらっていたので、綺麗になっていた。また一人になるのは怖いが、そのことを考えるのはやめようと思った。あえて隣近所とも付き合うようにした。取り立てて素行がおかしい人がいるわけでもなく、話をしてみればいい人ばかりである。1週間ほど経って、あのことを忘れかけていた時、恐怖は蘇った。ポストに鳩の死骸が入れられてあったのである。頭の中は真っ白になり、その場にへたり込んでしまった。気が付くと部屋に戻って恐怖に震えている自分がいた。我に返り、もう駄目だ、誰かに見張ってもらうしかない。娘夫婦にも相談した。同調してくれた。そこで、弊社への依頼となるわけである。

UP DATE:2002/07/04
つづく
 このページは月に一度の予定で更新します。またのご来訪をお待ちしています。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ご相談・見積り無料

    

Phone : 0428-25-2703 (代) FAX : 0428-25-2704
有限会社 英探偵事務所  〒198-0032 東京都青梅市野上町3丁目4番地の9
P.I. Office of HANABUSA  4-9,Nogami 3-chome Ome-City,Tokyo 198-0032 Japan

(社)日本調査業協会加盟(登録1063号) 東京都調査業協会理事



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Copyright 1998-2003 P. I. Office of HANABUSA. All rights reserved.