「えっ、調査するだけが探偵?
とんでもありません! 探偵の世界にもいろいろあるのです。
ここでは、一般的にはあまり知られていないちょっと変わった探偵の世界をご紹介します。」


第12話『ホントに“まいった”疲労困憊ハードな1日篇 −後編−』原作:大杉具多

 勤務先が特定できたので、あとは退社後の素行調査となる。退社時刻までは約7時間あった。ちょっと近くの喫茶店で時間をつぶすというには長すぎる時間だ。とはいえ、現場から事務所までは往復で3時間ほどかかることを考えると、一度事務所に戻り、退社時刻に合わせて再度現場に向うというのも手間であったので、結局私は現場で時間をつぶすことにした。
 ※今思えば当たり前なのだが、ただ時間をつぶすのに7時間という時間は長すぎ
  る。その上、睡眠不足のせいで強い眠気が襲ってきた。周りは花見で賑わう神
  社のベンチで私は、営業廻りのサラリーマンがさぼっているがごとく、2、3
  時間眠ることにした――。

 今回の案件は、長時間の張り込みが調査の大半を占めた。休憩、食事はもちろんのこと、トイレにさえいつでも行けるという状態はなく、膀胱が故障しないか少し心配になったものだった。長時間ということで忍耐力、集中力はもちろんのこと、体力的にも堪える。私と共に調査にあたったK先輩は、今回の長時間に渡る調査で腰を痛め、現在も通院している。なんでも、大便の際にお尻を拭くのも困難なほど腰が痛いらしい……。

 ようやく対象者の退社時刻が近くなったので、我々は勤務先のあるビル付近で監視体制に入った。ビルの出入り口は数ヶ所ある。必ずしも出勤時に利用した出入り口から出てくるとは限らない。だからといって、すべての出入り口に調査員を配置するわけにもいかず、確率と推測から判断した監視場所を2ヶ所にしぼって張り込むことにした。対象者がこの2ヶ所のうちのどちらかを利用する確信が我々にはあった。
 しかし、予定の退社時刻になっても対象者は現れない。予想はしていたが、残業だろうか。日はとうに暮れ、風が強くなり、外は寒くなってきていた。

 動きのないまま数時間が過ぎた。緊張感が緩みかけ始めたその時、対象者がついに現れた。退社のようだ。対象者は出勤時に利用した最寄りの駅を通り過ぎ、早足でどこかへと向う。目的地の見当はつかない。我々は徒歩と車両で二手に分かれ、追尾へと移った。
 対象者は10分ほど歩き、ひとつ隣の駅に到着。ここで浮気相手の女性と待ち合わせをしていたのだ。対象者はすでに待っていた女性と会うなり、二人で居酒屋へと入て行った。
 ここで証拠を収めることに成功し、これで2つ目の目的の達成となったが、さらに突き詰める必要があると判断し、引き続き調査を続けた。対象者が居酒屋から出てくるまで店の前で張り込むのだ。
 ※この時、K先輩が次のようなボヤキを洩らしたのを私は憶えている。
  「こっちは寒い中、立ちんぼだというのに向こうは女性と酒か……。やんなっ
  ちゃうなぁ。あー、腹減った……」。それはK先輩の正直な感情の吐露だっ
  た。でもK先輩、それを言っちゃ……、と私は思った。

 すでに調査に着手してから裕に12時間を超えていたが、調査は更なる長期戦の模様を呈していた……。



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