「えっ、調査するだけが探偵?
とんでもありません! 探偵の世界にもいろいろあるのです。
ここでは、一般的にはあまり知られていないちょっと変わった探偵の世界をご紹介します。」


第13話『聞き取り調査篇 in福島 −後編−』原作:大杉具多

 朝食後、対象者に関係する数ヶ所の聞き取り調査を夕方まで行い、いくつかの情報が得られた。ただ、決定的な証言を持つ人物に会うには明日を待つ必要があり、本日の調査はここまでとし、私たちは予約しておいた宿にチェック・インすることにした。
 宿泊費は実費経費として依頼者の負担となるため、ビジネスクラスの低料金の旅館をインターネットで予め予約しておいた。安いホテルなので期待はしていなかったものの、ホテルに到着した私とK先輩は肩を落とすこととなった。

 幽霊が出そうな部屋と、シャワーの付いていない風呂などは到底褒められたものではなかったが、温泉は24時間入浴可能とあってこれは嬉しかった。あとは食事に期待することとしよう。そして早速、K先輩はタオル片手に温泉に向った。
その間、私はノートパソコンを開き、本日の調査のまとめを行うことにした。本案件の調査報告書は数名の証言を要点を踏まえた上でまとめるかたちになり、かなりの枚数になると思われ、混乱しないうちにある程度まとめておいた方が良いのだ。

 やがて、K先輩が風呂から戻ってきた。やけに浮かない顔をしているので、どうかしたのかと訊くと、K先輩は次のように答えた。
「湯船に湯が20cmくらいしかはられていなかった。しかも凄い百貫デブがいて、やたら臭かった」
 今回の出張は場所が温泉街ということで、私的には温泉を最も楽しみにしていたのだが、このK先輩の話を聞いて一気に風呂に入る気が萎えたのは言うまでもない。
「それから、ビジネスプランなのに髭剃りもないよ。部屋にティッシュも置いてないし……。あとでコンビニに買いに行こうか」
なんてこった。先が思いやれる……。
 というようにチェック・イン早々不安を感じたが、それでも汗をかいていたし夕食の前に風呂に入ってさっぱりしておきたかったので、湯が増えていることと、その太った人がもういないことを願いつつ私は風呂に向った。
 結局、私のときにも湯はまだ30cmほどしか溜まっておらず、体を寝かす状態にして浸かるはめになった。24時間いつでも入れますと言っていたのに……。髭を剃ることができなかったのでイマイチさっぱりもできず……。更には、噂の太った人もまだ体を洗っていた。確かにK先輩が驚くのも無理がないほどの太り様だった。あとになって判るのだが、実はこの人は旅館の主人だったのだ。

 温泉はそのような有り様だったが、もうひとつのメインである食事は何とも豪華であった。海が近いということもあってか、夕食は魚介類を中心とした海の幸で彩られた。
  ※しかも料理に出された魚は、例の太った旅館の主人が自ら海に繰り出して
   釣りあげ、調理までこなしているということを聞いた。中でも刺身の量が
   半端ではなく、鯛などの数匹の魚が丸ごと並んでいて二人ではとても食べ
   切れなかった。
   ちなみにK先輩は社内でも有名の大食漢である。現に翌朝の朝食では、ご
   飯を茶碗で8杯もおかわりをし、ホテルの女将さんに嫌な顔をされたほど
   だった。更には食べすぎのせいで、その日また腹痛を起こしたのだった……。

 そして、K先輩はこのような旅先でのメイン・イベントだとか嬉しそう言い「コンパニオン」を自腹で呼び、「ちょっと飲みに行って来る」と言って夜の街に繰り出してしまった。
 結局、K先輩が戻って来たのは朝方で、しかも外出して遅くなるような時は前以って旅館に知らせることが常識であるにもかかわらず、それをしなかったため翌朝旅館の女将に「遅くなるのなら、ひとこと言っておいて欲しかった。朝まで、待ってたんだから」となにげなく嫌味を言われ、仕方なく僕が謝るはめになった。とんだとばっちりとはこのことである。
 そのことをK先輩に問い詰めると「深夜に戻ったら、鍵がかかっていて旅館に入れなくてどうしようもなかった」と言っていたが、あやしいものだし言い訳にもならない。

 さて、肝心の調査の方はというと、対象者の親近者から重要な証言を無事得ることができたので、私たちはその足で福島を発つことにした。
こうしてちょっとした旅行気分(?)を味わいながらの福島への出張調査は終わった。
 今回またしてもK先輩がちょっとしたトラブルを起こしたが、結果として福島の人柄(人間的に素直)が素晴らしかったし、宿泊した旅館にしても不満な点もあるものの料理はとても美味しく、人間味あふれる旅館であり、個人的にはもう一度来たいと感じたのも事実であった。



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