「えっ、調査するだけが探偵? とんでもありません! 探偵の世界にもいろいろあるのです。ここでは、一般的にはあまり知られていないちょっと変わった探偵の世界をご紹介します。」


第15話 『車両追跡/ルーキー“TM”登場篇 −前編−』 原作:大杉具多

 今回の探偵日誌では、当社で契約社員として活躍をしているTMが、初めて調査に従事した時のことをお話していきたいと思います。

 この時の調査は、異性関係調査、要するに浮気調査だった。担当は、いつもの私とK先輩のコンビに新人のTMが加わることとなった。
 ※このTM(男性)は私よりも年上で、なんでも弁護士か検事を目指しているら
  しいが(正確なことは不明)、難解な試験を何年もクリアできず、もしかした
  ら今年も……と言ったら怒られそうだが、そんなTMは日夜勉強に励んでいる
  中、兼ねてより探偵という仕事に興味があり、契約社員として当社に勤務する
  ことになった。彼は高学歴の優秀な人物で尚且つ真面目で理屈の理解できる正
  義感に溢れた人材であるが、調査に関しての経験はなく、この時はまだ素人同
  然だった。そのため、経験を積む必要があり、今回は私とK先輩の補佐的な役
  割として調査に同行することになったのだ。
  そんなわけで、今回の探偵日誌の主役はK先輩ではなく、このTMなのだが、
  もし彼が弁護士になったらこの探偵日誌の内容を名誉毀損や侮辱罪で訴えられ
  はしないだろうか……私はすこし心配だった……。

 対象者の男性は常に車で移動していることがわかったので、浮気相手の女性と会うと思われる日に、私たちは三台の車で追跡を行なうことにした。
 通常、車両三台による追跡という体制をとることはほとんどなく、車両二台、もしくは車両一台とバイク一台という組み合わせが基本だった。特にバイクは機動力があるため、気づかれることはあっても、まかれるということはまずありえず、車両追跡の際に重宝する。今回にかぎっては、TMは補佐的な役割であったため、車両三台という体制だったのである。

 対象者は退社後、そのまま浮気相手の女性の自宅方面へ向った。私たちは気づかれないよう三台の車の位置を交代しながら追跡を行なった。車両追跡の一番難しいところは、対象者に気づかれやすいことである。徒歩の尾行ならば、極端に人気の少ないところなどでなければ気づかれることはまずありえないが、車両にいたってはぴったり真後ろに付いたりしたものなら、たちまち不審に思われてしまう。そのため車間距離を保ったり、対象車両との間に数台の車を挟んだりする必要があるが、赤信号で引っかかってしまったりと、慣れないうちはそう簡単なものではない。
 ※このように、車両の追跡には難易度が伴うため、車体に発信機(加工した位置
  情報確認機器)を付け、GPSによる位置確認を行いながらの追跡という手段
  を採る調査会社もあるが、この調査法は基本的に違法である(親族による設置
  管理は例外もあるが電気通信法に抵触する)。
  刑事罰に抵触するのだが、民事としても損害賠償の対象となり、対象者に発見
  された場合、プライバシーの侵害やその事が原因で生じる可能性あるものなど様々
  な視点から慰謝料請求が発生する惧れがあることを認識している必要があり、
  現に民事裁判を起こされた調査会社の判例はいくつもある。只、請求金額に関
  しては様々で、その行為の度合や相手によっても異なるので、一概には言えな
  い。

 一台の車だと憶えられやすいが、その点、今回のように三台の車を駆使すれば比較的追跡がやり易い。
 今日のデートはドライブなのか、対象者二人はどこへ寄ることもなく長距離を移動した。私たちは連携をとりながら順調に後を追った。今のところ不審がられている様子はなく、TMも事前の指示通りの動きをしていて、調査は問題なく進んでいた。しかし、最初の問題はここで起きた。しかもその問題はルーキーのTMによって引き起こされたのではなく、いつものあの人によってだった。
 この時は、私が対象車両のすぐ後ろ、その後にTM、さらにその後ろにK先輩という状態で追跡をしていた。そんな時、私の携帯電話が鳴った。携帯の画面を見ると、K先輩からの着信だった。片手でハンドルを持ち、電話に応対すると、K先輩のなにやら苦しそうな声が聞こえてきた。K先輩は言った。
「ごめん、とつぜん腹が痛くなってきてさ……。オレ、ちょっと外れるからよろしく頼むよ……」


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